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にんげんたん

いつのまにか私たちは、人生という旅路を一人で歩んでいた。
気がついたらだいぶ歩いていたみたいだ。出発点はもう見えない。

私は今、どこにいる?

道ゆく人が言うことをそのまま受け入れて歩き続けるのは、何か違う気がした。
旅の目的地を聞いてみても、まともに取り合ってくれるひとはいなかった。
それでも歩き続けるしかないから、私たちは道で拾った穴だらけの地図を頼りにいくつかの街を渡り歩いてきた。

いろんな街を見た。
和やかな人々が動物とともに暮らす街、厳かな人々が立て看板をそこら中に置いている街、隣人に無関心な人々が互いに干渉せずひっそりと暮らす街。

どれかの街にずっと居続けることはできない。
常に歩きつづけなければいけないような気がしている。

道を歩いているといつのまにか話しかけられるようになった。
「私はどこを目指して旅をすればいいですか?」
「ごめんなさい、私もわからないです。」
そう答えるしかなかった。
自分の目的地さえわからないのに、まして人のなんて。

私たちはいつのまにか「大人」になっていたんだ。
人の旅の行先を左右できるところまで来てしまった。
このまま何となく旅を続けていいのだろうか、
自分も分からない旅路の指南を、人にしていいのだろうか。

幸い、先に旅をしている人はたくさんいる。
その一人一人が持っている旅の記憶を集めて、
みんなのための地図を作ったらどうだろうか。
人一人が自分の足で歩ける道のりは意外と短い、
しかしそのひとつひとつの記憶が集まれば地図は少しずつ頼れるものになる。

にんげんたんはそんな地図作りのための物語。
たくさんの旅人の記憶を集めた、みんなのための物語。

​にんげんたんという物語


ここでは人生を旅に例えています。
気づかぬうちに歳を重ねていて、私たちは人生の道半ばまで来ている、と。
自分の人生の目的というのは見つけることも言葉にすることも難しく、
だからこそ人生における自分の現在地を把握している人は多くないような気がします。
そんな手探りの状況に誰しもが焦りを感じたことがあるのではないでしょうか。
自分を変えたいと思って本を読んだり、頼れる人に相談したり。
それを「道で拾った穴だらけの地図」と表現しています。

人が人生を過ごす上で学んだこと、

「これは自分の後に人生を歩む人に伝えたい」と思ったことを書き残した、一昔を生きた人の言葉や本などは、まさに後を歩く人の地図となっているでしょう。
しかしそれはあくまで「一人の人間の地図」(一人分の人生経験)でしかありません。
人にはそれぞれ、自分だけの地図が必要です。
道で拾った地図ではなく、自分で描いた地図が。
自分について時間をかけてじっくり考え、内なるやりたいことを見つけた時に

ようやく将来への見通しが立ち、地図を描くことができるのでしょう。

文中の「色々な街」というのはこれまでの人生で巡り合った様々なコミュニティを指します。
温厚な人が多く平和的なコミュニティ、リーダーや仕切り役がいてしっかりと秩序が守られているコミュニティ、あまり他者に関心を持たない人が多く各自の判断基準に従って自由に行動しているコミュニティ。
居心地が良いところもそうでないところも経験しながら、あなたも自分という存在について人生の節目節目で考えてきたのではないでしょうか。

そうしていつの間にか成人し、大人として扱われるようになり、
今度は後輩や子どもから将来や夢について相談されることも増えてきたでしょう。
「自分の人生の目的も明確ではないのに」と何となくアドバイスすることに少しの抵抗を感じながら、「もう自分は大人だから」と割り切ってアドバイスをしようとするかもしれません。

はたしてそのアドバイスは、壮大な夢を持っていてこれからの努力次第でいくらでもその夢を叶えられる子どもの「助け」になるものでしょうか。
そのアドバイスは、本当に夢を後押しするものになっているでしょうか、
夢を潰してしまうことになっていないでしょうか。

子どもには子どもの人生があります。
本当に大切に思うなら、たとえその子どもの口から出た夢が自分の理解の範疇を超えるものであっても、理解しようと努力し共に勉強し応援できたら素晴らしいと思いませんか。
子どもが夢の実現のために望むものを与え、生活を守り、先回りして避けられる危険を取り除くことこそが親のできることなのではないでしょうか。

自分の人生について子どもに話して聞かせるのももちろん素敵なことです。
でもあなたが子どもの時に「親の言うことは正しい」と信じていたように、
子どもは思考せずしてあなたの意見を聞き入れてしまうかもしれません。


だから、ふとした時に読む絵本に、たくさんのメッセージをちりばめることにしました。
歳を重ねたことでいろんな大人たちが「もしかしてこれはこういうことなのかもしれない」と分かってきたことをつらつらと。
説教くさくならないように、美しい風景と愛らしい登場人物たちとともに、心を豊かにするための世界を作ります。
隣にいる人を思いやったり、はたまた世界の裏側にいる人に思いを馳せたりするための想像力がたくさんの人へ届くことを願って。

​にんげんたんを作った理由

全年齢を対象に、自己発見、他者理解を促す。
個性を伸ばす教育を当たり前にするための小さなはじめの一歩として。

①こどもに対しての働きかけ
・幼少期から様々な価値観に触れることによって、柔軟な考え方や傾聴力を身につけさせ、自由な子供を育てる。
・物語から他者の境遇や気持ちを想像し、思いやる力を育成する。
・1人の時間を過ごす間の寂しさを軽減させ、孤独感から起こす非行を抑制する。

②大人に対する働きかけ
・歳を重ねるごとに明確になっていく自身の判断基準や価値観を子供に押し付けないような柔軟な思考力を身につける
・何らかの理由で目を背けたり諦めざるを得なかった、なりたいことややりたいことに再度挑戦するきっかけとなる
・育児の負担軽減(家事をする間に子供に安心して見せられるコンテンツ)

③社会に対する働きかけ
・キャリア教育の拡充
・自殺防止
・生涯教育の推進

自己理解、他者への歩みよりを通して、現実世界で生じる様々な問題に対して、
人類が平和的な解決方法を選択できるようになることを祈っています。